朽ちる少女

 「あのね」と話しを切り出した彼女に、なぜか希薄な印象を受ける。それが、絶妙に絵になっていた。

 笑顔なんだ。
 元々の端正な顔立ちもあってか、まるでオードリーヘップバーンが告白するシーンの様だった。

 幽霊や幻ではないのに存在感が薄い。


「聞いてる?」

 その言葉で現実に引き戻される。

「あのね、私って何に見える?」

「は?」

 意味が分からない。。

「女子高生じゃないの?」

 やや疑問系で、質問の意図を探る様に応える。


「正解!!」

 一拍後、彼女はそう叫ぶとオーバーアクションで盛大な拍手する。そして、疑問符だらけの僕を残して走り去った。


 意味が分からない。
 突然目の前に現れたと思ったら、跡形も無く消えていった。

 僕は少女が去った方向を眺め、軽く首を傾げる。ここで起きた事を話したとしても、誰も信じてはくれないだろう。


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