朽ちる少女
「お兄さん」
真正面に立ち、挑戦的に人差し指を突き付ける。
「私、今日学校行ったと思う?」
意味が分からない。
もしかして、深夜に通行人に質問して困らせるという遊びが流行っているのか?
もしかして、何かのテレビ番組とか?
でも、それにしては真剣な表情だ。
答えてやる、か・・・
「行ってない。なぜなら―――」
「なぜなら、午前0時を回ってるから、行ける筈がない。
大、正解!!」
独りで拍手、勝手に盛り上がる。
「じゃあね!!」
ひとしきり拍手をしてクルクル回ると、少女は昨日と同じ様に笑いながら去っていく。
「な、何なんだ?」
昨日と同じ様に、呆然とその後ろ姿を見送る。
「意味が分からない」
そう呟きながらも、連日の不思議な出会いに何か運命めいたものを感じた。
.