朽ちる少女

 4日目は土曜日。
 平日の激務で疲れ果てていた僕は、久し振りに惰眠を貪った。

 安い賃貸アパート。
 六畳一間ならば、まだマシだ。会社が契約して提供してきた部屋は四畳半だ。しかも、ワンルームでユニットバスという劣悪な環境だ。

 ギリギリ横になれるスペースにきっちりとはまり、寝返りすら出来ない状態で天井を眺める。

 まるで、世の中の縮図のようだ。


 徐々に日が傾き、窓から射し込む日差しは消えた。

 テレビ番組に面白いものなどない。コメディアンとは呼べないバカな芸能人が、どうでもいいクイズを解いている。


 午後9時過ぎ、不意に愚かな妄想が脳裏を過った。

 まさかとは思うが・・・
 土曜日の今日も、歩道橋の上に少女は立っているのではなかろうか。


 僕は瞬時に立ち上がり、上着を羽織って外に飛び出した。


.
< 69 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop