朽ちる少女
右側に原爆ドームを見ながら進み、市の中心部を過ぎた辺りで下車する。
本当ならもっとカッコイイ仕事をする予定だったが、この御時世、二流大学では就職先が無い。
「おはようございます」
「小沢君、おはよう。10分遅刻。早く着替えて、やること山ほどあるんだから」
「はーい」
老人介護施設のヘルパー。それが俺の仕事。
カッコ悪い。
給料安い。
仕事ツライ。
肉体労働。
年寄り嫌い。
でも、他に仕事ないんだから、とりあえず働くしかない。出来るだけ手を抜いて、楽して生きていけば良い。
ああホント、こんな時代に生まれるんじゃなかった。バブリーな時代に生まれて、成金生活送りたかった。
面倒臭い。
ああ、もう死にたい。