* 王子と契約彼女 *
* 王子と私
学園の王子
― 夏 ―
「なな、課題終わったー?」
「まだぁ‥真由美助けて〜(泣)」
桜花学園高校に入って初めての夏。
このあっつい時に、先生は課題を山ほど出してきた。
「ほんとやってらんない!」
「まあまあ、私が教えるから」
「真奈美〜(泣)大好き♪」
課題なんてやってられないという私に、いつも手助けしてくれる真由美。
真由美は高校に入って出来た友達で、真面目で頭が良くて優しくて、私は真由美に甘えてばっかり。
真由美に課題を手伝ってもらうため、放課後の教室に居残って課題を進める。
「ここわかんない(汗)」
「どれどれ‥」
‥
「ななー!優くんだよ!!」
早速真由美の力を借りて課題をやろうとする私に、ちかが割り込んできた。
「ゆ、優くん?!どこ?!♪」
ちかの言った"優くん"の名前を聞いただけで、テンションがぐんと上がる私。
「あそこ、やってるねぇ♪」
「いた♪‥かっこいいぃぃぃ♪」
「かっこいいよねえぇ〜♪」
体育館でやっているバスケ部の集団の中の1人の男の子、"優くん"を遠く校舎内の教室から見つめる私とちか。
「ちょっと、なな!課題!」
うっとりしている私に、真由美が呼び戻す。
「真由美も見なよ〜かっこいいのに♪」
「興味ないもん」
「え〜かっこいいのに〜ね、ちか!」
「ね〜かっこいいのに♪」
ちかも高校に入って出来た友達で、"優くん"の話題で盛り上がれる唯一の友達。
茶髪で、初対面は怖い印象だったけど、本当は気さくでお洒落で、美人な女の子。
「さ、課題やるよ」
「ほーい‥」
真由美に手を引かれ、渋々席に戻る。
「真由美!私にも教えてっ!」
同じく課題をやっていないちかと、3人で課題を進めることになった。