* 王子と契約彼女 *
* 王子と私

学園の王子





― 夏 ―



「なな、課題終わったー?」

「まだぁ‥真由美助けて〜(泣)」



桜花学園高校に入って初めての夏。

このあっつい時に、先生は課題を山ほど出してきた。



「ほんとやってらんない!」

「まあまあ、私が教えるから」

「真奈美〜(泣)大好き♪」



課題なんてやってられないという私に、いつも手助けしてくれる真由美。

真由美は高校に入って出来た友達で、真面目で頭が良くて優しくて、私は真由美に甘えてばっかり。

真由美に課題を手伝ってもらうため、放課後の教室に居残って課題を進める。



「ここわかんない(汗)」

「どれどれ‥」



「ななー!優くんだよ!!」



早速真由美の力を借りて課題をやろうとする私に、ちかが割り込んできた。



「ゆ、優くん?!どこ?!♪」



ちかの言った"優くん"の名前を聞いただけで、テンションがぐんと上がる私。



「あそこ、やってるねぇ♪」

「いた♪‥かっこいいぃぃぃ♪」

「かっこいいよねえぇ〜♪」



体育館でやっているバスケ部の集団の中の1人の男の子、"優くん"を遠く校舎内の教室から見つめる私とちか。



「ちょっと、なな!課題!」



うっとりしている私に、真由美が呼び戻す。



「真由美も見なよ〜かっこいいのに♪」

「興味ないもん」

「え〜かっこいいのに〜ね、ちか!」

「ね〜かっこいいのに♪」



ちかも高校に入って出来た友達で、"優くん"の話題で盛り上がれる唯一の友達。
茶髪で、初対面は怖い印象だったけど、本当は気さくでお洒落で、美人な女の子。



「さ、課題やるよ」

「ほーい‥」



真由美に手を引かれ、渋々席に戻る。



「真由美!私にも教えてっ!」



同じく課題をやっていないちかと、3人で課題を進めることになった。




< 2 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop