* 王子と契約彼女 *




‥‥‥シーン‥



「‥‥‥」



優くんがどこかへ行ってしまい、誰もいない静かすぎる図書室。

図書室の中は夕日で朱く染められ、不気味な雰囲気をかもしだしている。



「(優くん、、まだかな、、)」



トントン、トントン、



「?!」



誰かの足音。
少しびっくりしたけれど、優くんかもしれないと足音に耳をすませる。



トントン、トントン、



足音はだんだんと図書室へ近づき、



ガラッ‥



図書室のドアが開いた。



「(ヒィィィィ!)」



怖がりな私は、足音の正体を見る前に固く目をつぶってしまう。

すると、足音の誰かが話してきた。



「あの‥職員室ってどこですか?」



どうやら、話し方も声からしても優くんではないみたい。

その声は男の子の声だった。

そして、私は目を開く。

目の前にいたのは、見たこともない男の子。
けど、うちの高校の制服を着ている。

想像していた幽霊でも、変な人でもなかった。

男の子は金色の髪に、綺麗な顔のハーフのような顔立ちをしていた。



「あの‥」



男の子は再度私に問い掛けたので、私は男の子の問いに答えた。



「あ、職員室は下の階ですよ。そこの階段を下りて、‥」



ジー



男の子はうるうるした瞳で、小さな子供のような顔をして私をジーっと見つめてくる。



ジー



どうやら、一緒に着いてきてほしいみたい。



「一緒に‥行きます?」

「お願いします!!!」



男の子は顔を輝かせ、優くんにも劣らない程の笑顔で私を見つめた。



‥‥‥‥‥‥



「ここですよ」

「ありがとう♪あの‥名前は?」

「え?私?ななです」

「ななさん、ありがとう☆」



私が名前を尋ねる前に、男の子は職員室へ入っていってしまった。

そして私は図書室へ早足で戻った。




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