* 王子と契約彼女 *
「あ、ななちゃんの友達ですか!はじめまして!」
男の子はまるで王子のような笑顔をちかに向けた。
「"ちょ!やばっかっこよすぎる‥"」
ちかが私に向かって小声で言ってきた。
そして、続けてちかが男の子に言う。
「で、ななとお知り合い‥?」
「昨日、ななちゃんに助けられたんです♪」
「助けられた‥?」
「俺、職員室がわからなくて‥ななちゃんわざわざ職員室まで案内してくれて‥俺、それでななちゃんのこと好きになっちゃったんです」
「そうだったんですかあ〜‥‥‥‥‥って、え?!?!?!」
ちかが唖然としている中、周りの女の子達も騒ぎ出した。
「「きゃーーーーー!!!こんなとこで!大胆☆」」
なぜか好感度UPしている。
そして私はというと、
「‥‥‥‥‥‥‥」
口を開けたまま、固まっていた。
男の子はそれを見ながら私に微笑みかける。
「彼氏、いるんですか?」
「え‥」
いきなりの質問に、一瞬とまどう私。
これを聞いた女の子達は、
「「どっち選ぶんだろ?」」
「「あの男の子にしちゃえ!」」
「「優くんにしてえ!!!」」
意見は賛否両論。
どちらを選ぶのか面白がる子、未だ優くんラブで私が優くんと別れてほしい子、早速男の子に乗り換え、優くんを選べという子。
「優‥くん?て?」
女の子達の声を聞き、男の子が私に"優くん"の名前を口にした。
「私の、彼氏‥です」
言ってしまった。
もうすぐ優くんに告白して、振られて、きっと"フリ"すらできなくなるのに‥。
「いるんだ、彼氏‥」
しかし、これで男の子は諦めてくれるかも、なんて思っていたら男の子は顔を近づけ、私の耳元で囁いた。
「優くん、ねえ‥誰か知らないけど‥奪っちゃおうかな♪‥」
「(は?‥‥‥‥‥)」
私はまた固まった。