* 王子と契約彼女 *
そして、授業がはじまると‥
「ななちゃん、教科書みせてくださいっ♪」
授業の間の休み時間‥
「ななちゃん、次の教室どこかな?♪」
「ななちゃん、♪」
「ななちゃ」
―
―――
―――――
「ななちゃん、ななちゃんって‥疲れた‥」
そう、今日1日転校生の薫くんに散々付き合わされ、私は疲れきっていたのだ。
「もうななと薫くんが付き合ってるってすごい噂だよ?」
「私は優くんを振った、とか優くんに振られた、とか聞いた」
真由美とちかは私の疲れを更に悪化させる。
薫くんはかっこいい、頭いい、優しい、の好条件で、すぐ女の子達の話題になった。
しかも、優くんの次の"第2の王子"なんて呼ばれるくらいになって、優くんから薫くんに乗り換えた子もいるくらいだった。
「なんで私なのさぁ‥」
「このさい、薫くんにする?」
私は真剣に悩んでいるのに、ちかはすぐ面白がって、嫌になっちゃう。
「優くんがいいもん!」
「アハハ、分かってるって」
「なーなー☆」
「(この声は‥‥‥♪)」
私の癒し、優くんのご登場。
「優くん、なな疲れてるみたいだから、励ましてあげて」
真由美は優くんにそう言うと、ちかを連れて、行ってしまった。
「なな、疲れてるん?」
「ん‥ちょっとだけ(笑)」
「ほら、食えっ☆」
優くんはチョコレートを差し出した。
「チョコだあ♪」
チョコレートが大好きな私は、一気にテンションが上がる。
「やっぱななは笑ってなきゃ!」
「優くん‥(ジーン)」
優くんの天使の笑顔は、やっぱり薫くんとは比べものにならないくらい、私に力を与えてくれた。
「ななちゃーん♪」
「(げ‥)」
私が優くんから癒しをもらって早速、薫くんが現れた。
サッ
とっさに優くんの後ろに隠れる私。
「ななちゃん何してんの?」
隠れた私を薫くんは簡単に見つけ、私に話しかけてきた。