* 王子と契約彼女 *
「ななちゃん、一緒に帰ろ♪」
「ワタシ、ナナジャアリマセン」
「‥ぷっ。ななちゃん、かわいー」
優くんをよそにして、薫くんが話し掛けて来る。
私は心の中で、優くんに助けを求める。
「てか‥あんた誰?」
と、薫くんが優くんに話しかけた。
「‥俺?」
優くんは、キョトンとした顔をしてる。
「あんた‥優?」
「?そうだけど‥」
「ふぅーん‥あんたか。」
「???」
優くんは何もわかっていないみたい。
「俺、あんたには負けないから」
「なにが??????」
「‥なんも知らねえの?(笑)」
「?よくわからん‥」
「‥俺、ななちゃんが好きなんです」
どこまでも薫くんは直球だった。
「え‥‥‥‥‥」
優くんは困ってた。
そりゃそうだよね、私とは付き合ってるフリなんだもん。
私のこと、本気で好きじゃないのに反論できるはずがない。
「俺が奪っていいですか?」
いきなり敬語で優くんに話しかける薫くん。
すると、優くんは‥
「ダメ。」
その言葉は、すごく嬉しかった。
「俺、諦めないんで」
「うん。いいよ。でも、ななはあげない」
私を守ってくれる優くんに、私は更に優くんに惚れ直す。
「ななちゃん、一緒に帰ろうよ〜」
「‥私、優くんと帰るからっ」
「え〜」
「おーい」
強引な薫くんに困っていると、先生がなにやら薫くんを呼んでいるようだった。
「薫来い、」
「‥はーい。ちぇっ。じゃあね、ななちゃん、ばいばいっ」
渋々先生の元へ行く薫くん。
そしてやっと、私は優くんと二人きりになれた。
「今の‥なんだったんだ?(笑)」
優くんは未だ何も分かっていないみたい。
「帰ろっ」
「お、おう‥」
私は優くんの手を取り、帰ろうとあるきだす。
そして二人きりの帰り道、今日あったことを優くんにすべて話した。