* 王子と契約彼女 *
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そして、また放課後。
「ななちゃん、今日は一緒に帰ろ♪」
隣の席の薫くんは、私が帰り支度をしている間、ずっとこう言ってくる。
「だーかーら、優くんと帰るからっ」
「今日ぐらいいいじゃーん!」
教室をでて、廊下を歩きながらも薫くんはしつこくひっついて来た。
「‥‥‥‥」
こうなったら、無視だ。
薫くんの言うことに耳を向けず、ひたすら優くんの待つ校門へ向かう私。
「!ちょ、!!」
無視し続ける私に、薫くんはいきなり私の手を掴み、歩きだした。
「離さないからっ☆一緒に帰るっ」
「ちょっと‥‥‥」
薫くんの手を振り払おうとするも、ぎゅっと握られて離せない。
「や‥だ‥‥‥」
どんなに力を入れても、男の子の力に敵うはずもなく、手を繋いだまま校門へ‥
「あっ!なな〜!♪‥‥?」
私を見つけた優くんが私に手を振るも、隣にいる薫くんを見て顔をしかめる。
「なんで君がいるの?」
そう言って、薫くんに睨みつけた優くん。
「ななちゃんと一緒に帰りたくて」
薫くんも、優くんを睨み返す。
「ななと帰るのは俺なんだけど」
優くんはそう言って、手を繋いだ私と薫くんの手を引き離した。
「薫ー!!こーい!」
と、ここでまた先生が救世主に。
「またかよ‥‥‥‥」
「薫ー!昨日の話!!」
「はーい‥‥‥‥じゃ、またね☆ななちゃん☆」
先生に呼ばれ、1トーン下がった声で先生に返事をした後、またトーンを上げて笑顔で私に挨拶した。
そしてまた優くんを睨みつけたあと、薫くんは先生の元へ行ってしまった。