* 王子と契約彼女 *
「ななちゃんと一緒♪」
「‥‥‥‥(汗)」
教室を出てから、薫くんはずっとこの調子。
そんなに私と帰れるのが嬉しいのかな?
「♪♪♪」
「/////(笑)」
万遍の笑みを浮かべながら歩く薫くんを隣で見て、まるで子供を連れているかのように思えてきた。
私はそんな子供のような薫くんを少し可愛いと思っていた。
「‥なにななちゃん、俺のこと見て。惚れた?」
「ま、まさかっ///」
「いいよ〜惚れてくれて♪むしろ惚れてほしい♪」
グイッ
「っ‥‥‥‥///」
上機嫌の薫くんはいきなり私の手を握ってきて、上下に振りながら楽しそうに歩き続けた。
私はそんな薫くんがまた子供のように思えて、子供を連れてるお母さんのような気分で手を繋いだまま歩いた。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「あれ?優、あれ、ななちゃんじゃない?」
「ん?‥」
「誰かと手繋いで歩いてるぞ」
「‥‥‥‥‥」
部活の休憩中、優くんと友達は私と薫くんの姿を見た。
「優、顔怖い‥‥‥‥」
「ちょっと行ってくる」
「おい、優?!」
険しい顔をした優くんは、部活を放り出して私たちを追った。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「薫くん子供みたい(笑)」
「えぇ?!かなしー(泣)」
「はははっ(笑)」
"隙見せないようにしなきゃ"
そんなことはすっかり忘れて普通に楽しく帰る私。
優くんが薫くんと手を繋いで帰っているところを見たとも知らずに‥。