* 王子と契約彼女 *




「(優くん‥‥‥‥!助けて‥!)」



「何してんの」



すると、聞き覚えのある声が聞こえ、薫くんの私に近づけた顔が一旦止まる。
そして私と薫くんは声のする方を向く。

そこにいたのは‥



「ゆ、優くん‥‥‥っ!(泣)」



紛れも無く、優くんだった。

薫くんは驚いて私を押さえる力が少し弱まる。
私はその隙に薫くんを振りほどいた。



「お二人とも‥何してたんですか?」



「(お二人とも‥?)」



優くんはめちゃくちゃ怒った顔をしてる。目から炎が上がっているようにも見えた。

私の予想では、

"ななに手を出すなっ!"そう言って優くんは私を引き寄せ、"ななは俺のだ!渡さない!"そう言って‥キス。

なんて。
予想は大きくハズレそうだけど。



「おい、お前。」

「何?先輩?」

「何してた?」

「キスしようとしてました」

「ちっ‥」



「(ち、ちっ?!)」



優くんが舌打ちだなんて、考えられない。



「おい、なな!」



そして、優くんの怒りの矛先は私に向かった。



「何こいつと一緒に帰ってんだよ?!気をつけろって言ったろ?!」

「ご、ごめんなさい!(汗)」

「俺来なかったらどうなってたか分かるよな?!」

「は、はい‥‥‥‥ありがとう。」

「お礼じゃなくて!ななは‥こいつにキスされてもよかったのか?手も繋いで‥‥‥‥」

「よくないです‥‥‥‥」



私は優くんにいつになく激怒された。
このときの優くんは、決して王子といえる感じではない。




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