* 王子と契約彼女 *
「優くんっ」
「?‥ななっ」
友達と話していた優くんが、こっちに振り向く。
「どうしたん?」
「ごめん!!!」
「え??」
「お化け屋敷行けなくなっちゃった‥。真由美がね、8月1日誕生日なの。だから一緒に祝いたくて‥ごめん!」
「そっかぁ。いいよ、そんな謝らなくても(笑)」
優くんはいつもの優しい笑顔を見せ、私の頭をポンッとした。
ちょっとだけ、寂しそうな顔をしながら。
「あ、ななちゃんだぁ♪」
すると、優くんの友達が私に話しかけてきた。
「俺、優のダチの恭平。よろしくねっ」
恭平さんのことは、よく知ってる。
優くんとすごく仲が良くって、いつも一緒にいるから。
「あ、ななです。よろしくお願いしますっ」
先輩ということもあって、少しかしこまる。
「もぉさぁー(笑)優ったらななちゃんの話ばっ‥‥‥」
恭平さんが言いかけたところで、優くんが恭平さんの口を塞いだ。
「ばっばか!///ベラベラしゃべるな!///」
あまりの仲の良さに、私は見ていて笑顔になった。
「と、とにかくなな、大丈夫だからっ。誕生日祝ってあげな、な!」
「うん♪ありがとう♪」
キーンコーンカーンコーン‥
「なな、始まるぞっ。教室戻れっ」
優くんは恭平さんの口を塞いだまま教室へ戻る。
私も急いで教室へ戻った。