* 王子と契約彼女 *
教室へ戻るとすぐ、時間差で先生が来た。
「ついに明後日から夏休みだな、遊びすぎないように!」
先生がクラスのみんなに言う。
「ななちゃん夏休み何するの?」
隣の席の薫くんが聞いてきた。
「んーまだ特に予定はないかなぁ」
「じゃ、俺とデートし‥」
「無理です。」
「えーーー。」
相変わらずすごいアタックなままな薫くん。
「優くんとデートだもんね、ななは。」
そこに、真由美が助っ人に入ってくれた。
「そ、そうそう♪楽しみぃ♪」
「ちぇー」
薫くんは頬を膨らませて毎度のことのように拗ねた。
「(それにしても、真由美への誕プレどうしよう‥優くんに付き合ってもらいたかったけど、部活忙しいだろうしなぁ‥)」
「何悩んでるの?」
すかさず薫くんが話しかけてくる。
「へっ‥べ、別に」
「優先輩とうまくいってないとか?」
「違う違うっ。他のことで‥」
「他?」
「おい、そこ。静かに!」
「「‥‥‥‥」」
薫くんの質問攻めに困っているところを、先生が注意して助かった。
明後日から夏休み。
高校入ってはじめての、夏休み。
真由美への誕プレに悩みつつも、優くんと夏休みの間会えないのかと思うと、少し憂鬱になる私だった。
「(本当に付き合ってたら、逢いたいって甘えられるのにな‥)」