* 王子と契約彼女 *




教室へ戻るとすぐ、時間差で先生が来た。



「ついに明後日から夏休みだな、遊びすぎないように!」



先生がクラスのみんなに言う。



「ななちゃん夏休み何するの?」



隣の席の薫くんが聞いてきた。



「んーまだ特に予定はないかなぁ」

「じゃ、俺とデートし‥」

「無理です。」

「えーーー。」



相変わらずすごいアタックなままな薫くん。



「優くんとデートだもんね、ななは。」



そこに、真由美が助っ人に入ってくれた。



「そ、そうそう♪楽しみぃ♪」

「ちぇー」



薫くんは頬を膨らませて毎度のことのように拗ねた。



「(それにしても、真由美への誕プレどうしよう‥優くんに付き合ってもらいたかったけど、部活忙しいだろうしなぁ‥)」



「何悩んでるの?」



すかさず薫くんが話しかけてくる。



「へっ‥べ、別に」

「優先輩とうまくいってないとか?」

「違う違うっ。他のことで‥」

「他?」


「おい、そこ。静かに!」

「「‥‥‥‥」」



薫くんの質問攻めに困っているところを、先生が注意して助かった。


明後日から夏休み。
高校入ってはじめての、夏休み。
真由美への誕プレに悩みつつも、優くんと夏休みの間会えないのかと思うと、少し憂鬱になる私だった。



「(本当に付き合ってたら、逢いたいって甘えられるのにな‥)」




< 51 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop