坂道
第八章 へいおん
職場にて
「お疲れ様でした。」
市役所の市民課に勤める奈央は、定時になって先に帰って行く、何人かの先輩の背中に向かってそう声をかけた。
やがて奈央も、デスク上のパソコンの電源を切ると、椅子の背もれに体を預け、小さく伸びをした。
そして、デスクに左手をつくと、ゆっくりと立ち上がった。
更衣室の前に着いた奈央が、鉄の扉の横にあるスキャンにIDカードを通すと、鍵がカチャリと音を鳴らして開いた。
奈央はその音を確認すると、ノブに手をかけゆっくりと回して扉を開けた。
「あ、奈央。おつかれさーん。」
奈央の同期のあおいが、私服の白のパンツのボタンをはめながらそう声をかけてきた。
水色のブラウスとのコントラストがさわやかで、そのボーイッシュな彫りの深い顔とショートカットに良く似合っている。
「早いね、あおい。」
「何言ってるの。奈央も急いで。」
そう言うあおいに急かされるように、奈央も慌てて私服のピンクのワンピースに着替えた。
今日は帰りに、二人で最近よく行くイタリアンレストランで、食事をする約束をしていたのだ。
市役所の市民課に勤める奈央は、定時になって先に帰って行く、何人かの先輩の背中に向かってそう声をかけた。
やがて奈央も、デスク上のパソコンの電源を切ると、椅子の背もれに体を預け、小さく伸びをした。
そして、デスクに左手をつくと、ゆっくりと立ち上がった。
更衣室の前に着いた奈央が、鉄の扉の横にあるスキャンにIDカードを通すと、鍵がカチャリと音を鳴らして開いた。
奈央はその音を確認すると、ノブに手をかけゆっくりと回して扉を開けた。
「あ、奈央。おつかれさーん。」
奈央の同期のあおいが、私服の白のパンツのボタンをはめながらそう声をかけてきた。
水色のブラウスとのコントラストがさわやかで、そのボーイッシュな彫りの深い顔とショートカットに良く似合っている。
「早いね、あおい。」
「何言ってるの。奈央も急いで。」
そう言うあおいに急かされるように、奈央も慌てて私服のピンクのワンピースに着替えた。
今日は帰りに、二人で最近よく行くイタリアンレストランで、食事をする約束をしていたのだ。