坂道
第九章 さいかい
お店にて
五人は告別式の日以来、初めて全員揃って集まった。
ケンジと奈央は、奈央の職場の傍にあるレストランに着くと、六人がけのテーブルに座って他の三人がやってくるのを待った。
もう六時を回り、外もだいぶ暗くなっている。
「うん。いい店じゃないか。」
入り口をくぐりながら、そう感心したように言う声が誰のものであるか、ケンジには振り返らなくてもわかった。
ケンジは振り返って言った。
「土門。仕事お疲れさん。」
「おうよ。明日から連休だから、仕事片付けるのが大変だったぜ。」
土門はそう言ってケンジの右隣に腰をかけると、ネクタイを緩めて白いワイシャツの一番上のボタンをはずした。
「いやあ、外は暑い暑い。」
そう言って汗を拭う姿を見て、ケンジはにやりとした。
「そうやっているとお前、おっさん臭いな。」
「うるせえや。」
そう言って、左ひじでケンジのわき腹を小突く。
そして、二人は見合って大きな声で笑った。
そんな様子を向かいから奈央は見ていて、おかしくなって噴出した。
そう、この二人のやり取りは、高校時代、はたから見ていて面白かった。
それは今でも変わっていない。
ケンジと奈央は、奈央の職場の傍にあるレストランに着くと、六人がけのテーブルに座って他の三人がやってくるのを待った。
もう六時を回り、外もだいぶ暗くなっている。
「うん。いい店じゃないか。」
入り口をくぐりながら、そう感心したように言う声が誰のものであるか、ケンジには振り返らなくてもわかった。
ケンジは振り返って言った。
「土門。仕事お疲れさん。」
「おうよ。明日から連休だから、仕事片付けるのが大変だったぜ。」
土門はそう言ってケンジの右隣に腰をかけると、ネクタイを緩めて白いワイシャツの一番上のボタンをはずした。
「いやあ、外は暑い暑い。」
そう言って汗を拭う姿を見て、ケンジはにやりとした。
「そうやっているとお前、おっさん臭いな。」
「うるせえや。」
そう言って、左ひじでケンジのわき腹を小突く。
そして、二人は見合って大きな声で笑った。
そんな様子を向かいから奈央は見ていて、おかしくなって噴出した。
そう、この二人のやり取りは、高校時代、はたから見ていて面白かった。
それは今でも変わっていない。