坂道
「いいじゃない、にぎやかな方がいいよ。」

そう言って裕美は花が開くような笑顔を浮かべると、右隣で後を振り返っているケンジの肩に頭を乗せた。


ケンジは驚いて、いい香りのするその頭を見つめた。



つきあいはじめてもうすぐ二年になるが、野球ばかりしていたせいで、二人にこんな時間はなかった。



それは、幸せな時間であった。
< 13 / 209 >

この作品をシェア

pagetop