坂道
グランドへ入る網目の扉を開けようとして、裕美は一瞬迷った。



上から見ていた以上に、グランドは部外者を排除しようとする神聖さを放っていた。


そこは多くの球児たちが汗を流した空間であり、その想いがしみこんだグランドが、裕美を拒もうとしても当然かもしれない。



裕美は心配そうに、後ろに座るケンジの方を見た。


しかし、スタンドの上でケンジが、力強く頷くのを確認すると、勇気を出してグランドへと足を踏み入れた。
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