坂道
校舎の裏に並ぶ木々は、整えられた坂道の街路樹と違って野性味に溢れていた。



「美術室は…。」


ケンジは目印にしていた教室を探した。



そんなケンジの右手を、裕美が引っ張った。


「こっちだよ。」


裕美はそう言うと、先を先導するように、どんどんと進んでいく。



何故彼女が正確な場所を知っているのか、あの日記を読んでいるケンジには明らかであった。
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