坂道
そして、裕美はあの頃と変わらない満面の笑みを浮かべて、ケンジの胸から離れた。
「さようなら。世界一大好きな、ケンジくん。」
ケンジは言葉を返そうとしたが、声が出なかった。
ただ、弱弱しくその腕を裕美に向かって伸ばすことしか出来なかった。
しかし、そんなケンジに向かって、裕美は穏やかに首を振った。
「ケンジくん。もう、お別れしなきゃいけないんだよ。」
「さようなら。世界一大好きな、ケンジくん。」
ケンジは言葉を返そうとしたが、声が出なかった。
ただ、弱弱しくその腕を裕美に向かって伸ばすことしか出来なかった。
しかし、そんなケンジに向かって、裕美は穏やかに首を振った。
「ケンジくん。もう、お別れしなきゃいけないんだよ。」