坂道
その二人が歩く帰り道は、静寂の空間であった。


完全に日は落ち、街灯がわずかに二人を照らしている



「ついに明日だな。」



ケンジの声に裕美は小さく頷くと、そのまま黙りこくってしまった。


その目には普段の明るさがない。



「そうだよな、緊張するよな。」


そう言うと、ケンジは白いガードレールに腰をかけた。



しかし、裕美はいつものようにケンジの隣には座らなかった。
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