坂道
「私、大学行かない。」


「え…。」


ケンジはそう言ったまま、絶句してしまった。



実際、裕美の言ったことをとっさに理解できなかった。



「ごめん…。黙っていて…。」


裕美は凍った足元を、沈んだ瞳でじっと見詰めながら、消え入るような声でそう言った。




「ごめんなさい…。」
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