坂道
その言葉を聞いて、ケンジは自分を責めた。

謝るのは裕美ではない、自分のほうだ。


ケンジがかけてあげるべき言葉が分からずにいると、裕美はケンジにさっと背中を向けた。


「東京に行っても忘れないでね。」

無理に笑顔を作る裕美のその一言に、ケンジは胸が引き裂かれそうになった。
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