坂道
後数日もすれば、新しい新入生が泥だらけになり、自分たちと同じように高校生活を送るのであろう。


そしていつしか、ケンジや裕美の在籍していた証はなくなっていくのであろう。



二人は何も話さなかった。



ただ最後になるであろう、様々な思い出が残るこの坂道を、ゆっくりとかみ締めるように下り続けた。



しかし、ついに坂道の終わりを告げる、校門が見えてきた。


その前に着くと、裕美は足を止めた。



それにつられるように、ケンジも歩を止めた。
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