坂道
第二章 しあわせ

坂道にて

「ケンジくーん。がんばれー。」

球場いっぱいに響き渡るその歓声に、マウンド上のケンジは思わず頭を抱えた。


その恥ずかしそうな顔を、キャッチャーの土門がニヤニヤとしながら覗き込んだ。


「幸せものじゃねえか。」

大きな体躯をユサユサと揺らしながら、土門はそう言って笑った。
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