坂道
完全に陽が落ちてしまった公園で待つ裕美は、白い息をその小さな両の掌に吐きかけた。
そして少し温まった手と手をすり合わせると、街灯の下の木製ベンチに腰を下ろし、身にまとった薄い茶色のダッフルコートの襟をぐっと閉めた。
裕美は公園の入口の門に目をやった。
その向こうには、裕美の通う高校のある丘へと伸びていく坂道が見える。
今晩、こうやって坂道を見つめるのは、いったい何度目であろう。
「ケンジくん、来ないかな…。」
高校1年の裕美は不安そうにそうつぶやくと、公園の中心にそびえるポールの上に備え付けられた時計を見上げた。
そして少し温まった手と手をすり合わせると、街灯の下の木製ベンチに腰を下ろし、身にまとった薄い茶色のダッフルコートの襟をぐっと閉めた。
裕美は公園の入口の門に目をやった。
その向こうには、裕美の通う高校のある丘へと伸びていく坂道が見える。
今晩、こうやって坂道を見つめるのは、いったい何度目であろう。
「ケンジくん、来ないかな…。」
高校1年の裕美は不安そうにそうつぶやくと、公園の中心にそびえるポールの上に備え付けられた時計を見上げた。