最低男に恋をして。
いつもは逆なのに、
今日は私が彼の返事を待たずに通話を終わらせた。
「茉莉子、よく我慢した。」
加奈子の言葉を皮きりに溢れ出した涙。
「ぅ、うぇー…うっ…。」
ボロボロ流れる涙で
気合いを入れたメイクも、
せっかく買った新しい浴衣も全部汚くなってしまう。
だってこれは、汚い涙だから。
仕方ないのに、
どうしても行きたかったんだ、高嶺悟と。
いや、それはちょっと違うのかも…。
私は、今日のお祭で気持ちが聞けると思ったんだ。
それも、
夢みたいな素敵な気持ちが。
それが…
それが、全部…
違うって、
彼は、お前のことなんて好きじゃない。って
言われてる気がして…