最低男に恋をして。
素直に嬉しかった。
高嶺悟が、私とお祭行くのを少しだけでも楽しみにしてくれてたとしたなら。
私は、なんて自分勝手だったんだろう。
「あのね、茉莉子に謝んないといけないんだ。」
「なにが?」
少し火照った顔に手を当てて
唯くんを見上げる。
「悟のこと、諦めろなんて言ってごめんね。」
「本当だよ」
わざと拗ねたように唇を突き出したら、唯くんは困ったように笑ってから、急に真面目な顔になった。
「俺、茉莉子が好きだから、
悟みたいに女の子を大事に出来ないような子に菓鈴をあげたくなかったの。
なのに、自分で茉莉子を幸せにする自信なんてなくて。
ごめんね、茉莉子。」
「あ、うん…」
ボーっと聞いてたけど…
さり気なく凄いこと言わなかった?