最低男に恋をして。



引き込まれるようにそこから目を離せない私。

私の異変に気づいた唯くんがその方へ目を向けた。


「…ゆかり……」

目をまん丸く広げた唯くん。

きっと、あの女の人の名前であろう。


背が高くて、真っ黒な髪がアップにさせられてて、黒い浴衣に紫色の帯。


奇しくも帯の色が一緒なのに
彼女は凄く大人っぽくて
悔しいぐらい高嶺悟の隣が似合っていた。




「茉莉子…あの…」

明らかに動揺する唯くん。


「あれが、前に言ってた
高嶺悟の本命の人?」

なぜか恐ろしく冷静な自分。


だって、あまりにお似合いだから。

後ろ姿だけなのに、
その2人だけは異彩を放っていた。




< 155 / 269 >

この作品をシェア

pagetop