最低男に恋をして。



こんなにはっきり
誰かに思いを伝えられたことなんてなかったから…。

「唯くん、でも私…」
「悟が好き?」

笑いながら首を傾げる彼。


「高嶺悟なんて、もう…」

久々に口に出した彼の名前。

その響きが
悔しいぐらい心地よくて、
まだ好きだって、
思い知らされる。

「いい。
まだ忘れられなくても。

それでもいつか、俺を見て?」

優しく頭を撫でて
今度は手を持って、
つまり手を繋いで歩き出した。


「…唯くん」

唯くんを好きになれたら、
どんなに幸せなんだろう…?


優しくて、誰より私を大切にしてくれるでしょ?
浮気もしないし。

嘘も、つかない…。




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