最低男に恋をして。
7
姑息な手段
「っあ、悟先輩がいる」
誰かの声に、
私もその方を向いた。
「本当だ~、超格好いいっ
ねっ?茉莉子」
「ぁ…うん!」
高嶺悟…いや、
悟先輩はただの憧れ。
ちょっと前みたいな
有り得ない出来事は全部夢。
そう考えるようにして、
何日経ったのだろう。
最初の方は姿を見るのも辛かったけど、今じゃこうやって話せるようにもなった。
「茉莉子、無理してる。」
そのたびに加奈子の言葉に
なぜか胸が痛むけど。
「何が無理してるのよ~。」
笑いながら窓の外を見た。
汚い色をした曇り空。
なんだか何もかもやる気を吸い取られてしまいそう。