最低男に恋をして。
「っえ…?」
その姿を見て言葉を失った。
「な、なんで悟、先輩…」
不機嫌そうに
唯くんの隣を歩く彼の姿に
私の全神経が集中する。
もっと、可愛くしてくればよかった。
髪だって、
ただのポニーテールだし、
スカートにすればよかった…。
あまりに見すぎてたのか
不意に彼と目があった。
急いで目を逸らす。
きっと顔、真っ赤だし…。
「茉莉子、誕生日おめでと」
唯くんの優しい声に恐る恐る顔を上げると、
想像通りの優しい笑顔。
だけど、
その隣にうつる彼の姿に
ドクンドクン飛び跳ねる。
最後にみた時より
ちょっと長くなった髪とか
やたら格好いい私服とか
全部が
彼の全部が私の心を捉えて離さない。