最低男に恋をして。



「待て、話を聞け。」

「話…?」

「ゆかりは
ただの幼なじみで…」

ただの幼なじみの方が私より大事だったんだ?

ここで泣いたダメだってわかってるのに、
重い女ってわかってるのに。


「だから、聞けって…」

繋いでない方の手が、
私の今にも涙があふれ出しそうな目に触れた。


「前に、聞いただろ?
『約束を破る奴は嫌いか』
って。」

ゆっくり頷いた。


「ゆかりと、約束したんだ。
一生、俺が幸せにするって。」

…嫌だよ、聞きたくない。

でも、この温かい手を振り払う勇気もない。


「ガキの頃の約束。
今ごろ言うなって感じなんだけどさ。
まぁ、ゆかりは確かに大切なんだ。

だから…」


高嶺悟の瞳が揺れていた。




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