最低男に恋をして。




「守んなきゃなって、
思ったのにさ。

そいつより、
大切なやつが出来て。」

「……うん。」




「側にいてやりたくて、
守ってやりたくて。

だけど。
そいつのこと好きなやつが居て。

俺より優しくて、
いい男なんだ。」



「……うん。」



「だから。
ゆかりとの約束守るって名目で
諦めようと思ったんだ。
無謀な女を好きでいるより楽だから。
忘れたかったから。
そいつに言って欲しかったんだよ、『約束破る奴は嫌いだ』って。

なのに、
『嘘をつくほうが嫌いだ』とか言いだして…。
そんなん聞いてねぇのにさ。」

「うん。」

「だから、
ゆかりに言ったんだ。
『他に好きな奴が居るから約束守れない』って。

そしたら、
せめて誕生日だけは一緒に居て欲しいって言われて。
いつか分かんないけど了解したら、まさか祭の日で。」

「…うん」

「でもそれで、
せっかくただの幼なじみになれたのに、
肝心の俺が惚れた女は
電話も出ない、
メールも無視で。

挙げ句の果てに他の男といちゃついてて。」

「うん、。」


「酷いと、思わねぇ?」

「…うん。
酷い、女だね?」

「っふ。」




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