最低男に恋をして。
「加奈子…私…私ね」
しゃくりあげながらゆっくり話す。
高嶺悟との出会いから、
今までのこと、
今日、唯くんに聞いた話まで。
大粒の涙を流しながら話す私の話は聞きづらいはずなのに
加奈子は頷きながらしっかり聞いてくれた。
話すとどんどん心のモヤモヤが小さくなっていく。
話し終えてから、
ゆっくり息を吐き出した。
「バカねぇ、あんた。」
すっかりいつも通りのユリ。
でもまぁ、今となってはこっちの方がユリらしいや。
「そんなもん、悩むようなことじゃないわよ。」
「え?」
「当たって、当たって、当たりまくればいいのよ!
今、その誰かさんを大切でも
いつかはそれが茉莉子に変わるかもしれないんだから。
まだなーんも始まってないのに諦めるなんて
バカのすることよ。」
…その言葉を、
待ってたのかもしれない。