最低男に恋をして。



「加奈子…私…私ね」

しゃくりあげながらゆっくり話す。


高嶺悟との出会いから、
今までのこと、
今日、唯くんに聞いた話まで。


大粒の涙を流しながら話す私の話は聞きづらいはずなのに
加奈子は頷きながらしっかり聞いてくれた。

話すとどんどん心のモヤモヤが小さくなっていく。

話し終えてから、
ゆっくり息を吐き出した。



「バカねぇ、あんた。」

すっかりいつも通りのユリ。
でもまぁ、今となってはこっちの方がユリらしいや。

「そんなもん、悩むようなことじゃないわよ。」

「え?」

「当たって、当たって、当たりまくればいいのよ!
今、その誰かさんを大切でも
いつかはそれが茉莉子に変わるかもしれないんだから。

まだなーんも始まってないのに諦めるなんて
バカのすることよ。」




…その言葉を、
待ってたのかもしれない。





< 95 / 269 >

この作品をシェア

pagetop