ピンクのバスケットボール
      ~注目の的~

公園を出てから約15分。汗だくになりながら私を学校まで運んでくれた。・・・ちょっとかっこいいな、と、思った。
「・・・よしっ、おい着いたぞ。」
「、え?あ、ありがとー!」
「・・・お前重い。」
「うるさい。、ほら、汗これでふきなよ。」
私はかばんからタオルを取り出して、その人に渡した。その人は、小さな声でありがとう、と言ってくれた。
「・・・あ、そうだ。お前名前なんていうの?」
「え、あぁ私?私の名前は、安井里野。1年生です。」
「へぇ、・・・よろしく、里野。」
どきっ・・・男子から初めて呼ばれた。誰も私の名前なんか呼んでくれないから・・・ちょっと嬉しくなって、思わず笑った。
「何笑ってんだよ・・・」
「ふふっ、別に~・・ふふっ」
「キモいぞ、お前。」
そんな会話をしていたら1時間目を終えるチャイムが鳴った。
「やばっ!こんなところで会話してる暇なんてなかったのに!、それじゃぁ、自転車ありがとねっ!」
「あっ、おいっ!」
私が走っていった後、背中の方からその人の声がした。何を叫んでるか分からないから、無視して走った。・・・・なんかごめんね・・・

幸い廊下に先生が居なくて怒られずにすんだけど・・・生徒の横通るたんびにすっごい見られる。・・・なんかすごく照れる。それでも授業開始2分前ともなると人がほぼ居なくなる。・・・なんか不思議・・・だ。いつもにも増してゆっくり階段を上がっていたら、なんと一階から二階までの階段に7分もかかってしまった。
「あぁやばいっ!早く行かなきゃっ!」
私の教室は1年3組。階段を上がってすぐのところにある。確か二時間目は国語だったはず・・・やばい、
「・・・国語って長井じゃん・・・」
長井は怖いことで有名だからやばい。・・・とりあえず教室に入ろう。でもどうやって・・・よしっ!
「(ガララっ!)・・・遅刻してすみませんでしたぁぁぁ!」
・・・思い切って謝ったのに、反応がない。おこっているのかな、と思い顔を上げてみるとみんなが笑っていた。


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