soul‐魂‐
何か私に話し掛けている様だが、私には聞こえはしない。

そう。

私は耳が聞こえない。

産まれた時から耳に障害があり、一度は施設に入ったものの自分の障害を素直に受け入れられず施設を出て、普通の学校に通った。

けど、

現状は心無い人間との戦いだった。

で、私は負けた。

だから、ここにいる。



男性は相変わらず私に何か話し掛けている。

私に怒ってるみたい。



『あんた、こんな所で何やってるんだ!』



あ・ん・た?



『何黙ってるんだよ!』



何こいつ!

あたしに抱きついとって、あんたって!



自分の肩を男にわざとらしくぶつけながら、男とすれ違った。

『おい!待てよ!』

そんな声も聞こえる訳もなく屋上から出ていった。

『っち……何だよあいつ』
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