お隣さん〜近くて遠いキミとの距離〜
しばらくして、あたしたちが泊まる旅館に着いた。
けっこうキレイなところ。
「お部屋はこちらです」
そう言って案内された部屋だけど…。
多分あたしは1人部屋。
そう思っていたら、お母さんが部屋を説明し出した。
「百合の間が絵里さんと健一さんね」
健一さんっていうのは郁のお父さん。
そして次は絵里さんが言う。
「菊の間が千秋さんと修司さん。」
修司さんって言うのはあたしのお父さん。
「で、郁と紗枝ちゃんは桜の間」
……は!?
郁と……あたし!?
おかしいよね、絶対。
「あれ、今聞き間違えたのかな。あたしは1人部屋だよね?」
「何言ってるの。紗枝は郁くんと桜の間よ?」
「なんで郁とっ!お父さん、あたしと代わって!」
「いや、そう言われてもなぁ…」
結局お父さんはお母さんの言いなりで。
郁も郁で絵里さんたちに何か言っていたみたいだけど。
腹黒いお母さんたちには勝てるはずもなく。
あたしは郁と桜の間になった。
本当にいつもいつも、なんでこうなるの〜!?
ただでさえ、郁の顔文字まともにみれなくて気まずいっていうのに…!
どうしよ〜!!