お隣さん〜近くて遠いキミとの距離〜


「過去」はなかったことになんてできないけれど。



今だけは、なかったふりをさせて。



「俺に聞いたんだから、紗枝も答えろって」



はい、ごもっともです。



「…わかったよ。答えたらいいんでしょ?」



そう言って再び開き直る。



あたし、ちゃんとさっきと同じ表情できてるよね?



「キスは…あるよな。セックスは?」



サラッという郁。



「な、ないよ」

「マジ?」

「うん」

「じゃ、俺が初めてなんだ?」

「初めてって、まだしてないじゃん」

「そんなんこれからするだろ」



そりゃあ、いつかはするだろうけど…やっぱり怖いな。



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