多重人格少女と心臓病の少年
多重人格少女と心臓病の少年
「具合はどう?」
車内の沈黙に耐えられないのか、叔母さんはバックミラー越しに聞いてきた。
「大丈夫です、薬もさっき飲みましたから」
僕が笑顔で答えると、そう、と言ってまた沈黙が流れた。
窓の外では、景色が次々変わっていく。
さっきまでビルや家が隙間なく建っていたのに、今は緑の森しか見えない。
僕は、心臓病の療養のため母の所有する別荘に行くことになった。
まわりには森や林しかなく、自然豊かな所だという。
そこで僕は、一人の少女と出会うことになる。
その少女と出会ったことによって、僕の人生が大きく変わることになるなんて、今はまだ思ってもいなかった。