腐っていてもよければ
このまま良い気分のまま、布団に入ろう。

藤咲くんの夢が見れたら良いな。
家の奥からバタンとドアが開いて閉じる音がした。

一気に夢から覚めた気がした。急いで、電気を消して、部屋の鍵をかけた。

息を殺して、布団の中で外の気配を伺う。

足音は部屋に近づいてくる。足音が部屋の前で止まる。

ガチャガチャとドノブが動く。怖い。声を出さないように、布団の中にもぐる。

ドアノブが壊れるんじゃないかと思うくらい、動かされた後、ドアノブの音が止む。

少し息を吐いて、ドアを見る。今度はドンドンとドアを叩き始める。

怖い。怖いよ。誰が助けて。

藤咲くんと話していたケータイを握りしめた。
< 10 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop