帰ってくる場所


荷物を置いて一息着くと美恵子おばさんが「その辺、見てきぃやぁ」と散歩を提案してきた。
そのまま素直に外に出たわけなんだけど、

「う~ん………迷子」

久々の田舎に少しテンションが上がり、ついて来ると行ってくれた絢音ちゃんに断り一人で出てしまったのが悪かった。

辺りを見ても田んぼ、畑、森。

どうしたものか。
そんな風に一人考えていると携帯が鳴った。



着信:和也(カズヤ)



「…………」

あたしは携帯を静かに閉じてポケットに入れた。
あぁ、そうか、携帯があるんだから電話すれば良い。だけど、せっかくならやっぱり散歩しよう。
そんな気分だから。


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