帰ってくる場所


「………」

男の人は無言で近づいてきた。あたしは咄嗟に少しだけ離れる。だけど、相手は気にもとめずに歩みを進める。

そう、木の下まで。

「………穂波(ホナミ)」

男の人はそう呟くと花束を木の根本にそっと置いて目を閉じた。
あたしは何が起きているのかわからなくて、ただただその様子を見ていた。

















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