帰ってくる場所


「あ~、ほたるちゃん?」

何故、名を知る。

あたしは眉間に思いっきり皺を寄せて無言で男を見ていた。
答えないあたしに瞬きをする男。
さらに瞬きするあたし。

「………」
「………」

お互い無言。

「………」
「………」

「……あ、」

ビクッ

急に口を開くものだからあたしは肩を大きく揺らして勢いよく振り向いた。
今度こそ正面で向き合う。
鏡越しより大きく見える本体(?)にあたしは「だ、だだだだ誰!?」と警戒心剥き出しで尋ねた。

「………ぷっ」

「……!?わ、わわわら、わっ」

「ぶっわっはははは」

笑ったっ………!!!!
なんて、イケメン!!!!

はっ!違う違う!!

「ちょっ!な、なななんで」

「ひ~ひ~ぶわはははっ!」

「わ、笑い方気持ち悪い!!」

笑われたことに真っ赤になる。朝から熱を帯びた顔はまた汗を流す。
顔、洗ったばっかなのに。


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