帰ってくる場所


「波奈ちゃ~ん、何しようかぁ?」

部屋に戻って抱っこをしながらくるくる部屋を歩く。波奈ちゃんはそれだけで少し楽しそうに「あっあっ」なんて笑った。

波奈ちゃんは今、生後5ヶ月。まだまだママやパパが恋しい赤ちゃんのはずなのに全く手が掛からない。絢音ちゃん曰く、あたしが気に入られているだけらしいのだけど。

「波奈ちゃん。お人形さんで遊ぼうか?」

「あっ!」

あたしが絢音ちゃんに預かっていた人形を差し出すと波奈ちゃんは嬉しそうに笑って小さな手で人形をぎゅっと掴んだ。

何をしていても可愛い。
これが赤ちゃんパワーなのか、それともママとパパの良いとこ取りなのか(ヒガミではない)

しばらく遊んでいると波奈ちゃんはウトウトと瞬きをしてきた。
赤ちゃんの頃は生活の3分の2は睡眠だという。波奈ちゃんも眠たくなってきたのだろう。

(うーん…あたしも眠たくなってきたなぁ)

心地好い赤ちゃんのミルクの匂い。
縁側からはいる温かい日差しと柔らかい風。
時折響く風鈴のチ-ンという…―――――


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