帰ってくる場所
「美恵子おばさん」
「はいはい」
「何してるの?」
「夕飯の下ごしらえやけぇ。蛍ちゃんこそどうかしたぁ?」
台所のテーブルに座って胡麻を擦っていた美恵子おばさんに「波奈ちゃんのミルクなんだけど」と話をすると「あら、忘れてた」と穏やかに微笑んだ。
「波奈のミルクはこの棚の下にあってねぇ…あ、蛍ちゃん」
美恵子おばさんが思い出したように言うものだから首を傾げると「ミルクはあたしがやるから買い物頼んでも大丈夫?」と尋ねてきた。
「あたし達のお昼のこと考えるの忘れてたけぇ、食パンあるけぇサンドイッチでも良い?」
「うん。何かってくれば良い?」
「じゃぁね………」
あたしは美恵子おばさんに頼まれたものはメモした紙を持って外にでた。