帰ってくる場所
「全く、橘(タチバナ)家の女は本当に足開くの早いんだから~」
なんてこと言ってるんだ、母ちゃん。
あんたもその橘家だよ。
そんなことを思いながらあたしはテレビに向き直った。
お昼のドラマ。家族が色々困難を乗り越えて一つになっていく、そんな内容のよくあるやつ。別に興味は無いけど、退屈しのぎに1話からなんやかんや今日で10話目まできっちり観てる。
「そうそう。それで、絢音ちゃんがパート始めたいらしいのよ。旦那さんの稼ぎだけじゃ生活出来ないから、て。それで、お守りにあんたを推薦してあげたわけよ」
「推薦、て…まだ産まれたばっかなんでしょ?17歳のあたしに何をやらせ」
「18歳の絢音ちゃんがこども産めるんだからどうにでもなるわよ」
どうにでも…この母ちゃんはあたしを"どうにでも精神"で育てたわけだ。
まぁ、うちのお母さんもあたしを17歳で産んでるからここは口では勝てないだろう。