帰ってくる場所

部屋の角にあった棚の上にはおじぃちゃんとおばぁちゃんが幸せそうに笑う写真があった。
おじぃちゃんはあたしがまだ小学生の頃に突然静かに亡くなった。未だに原因は不明らしいけど、おばぁちゃんいわく「そういう運命じゃったんけぇ」らしい。
とにかく仲が良かった夫婦だった。あたしは二人が大好きだった。

写真の横で線香を立て手を合わせていると絢音ちゃんが部屋に入ってきた。

「ほたるちゃん、この子が波奈やけぇ。波奈、ほたるお姉ちゃんだよ。よろしくお願いします、てねぇ」

絢音ちゃんがぷっくりした小さな手を持ってあたしに手を振らせるように見せる可愛らしい愛娘の波奈ちゃん。
人目で波奈ちゃんが絢音ちゃん似なのだと理解した。

こりゃぁ、美人に育つな。

そんな風に確信を抱きながら波奈ちゃんを抱いてみた。


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