happiness bitter
昼休みにざわつく廊下を抜け、重い足取りで屋上への階段を一段ずつ上がっていく。今まででいちばん気乗りしない時間だと心底思う。
屋上は侵入禁止のために少し周りを気にしつつノブに手をかけると難なくそれは開いた。外は予報の通りにあいにくの曇り空から切れ間に陽光がうっすら射す程度で、肌寒そうに腕をさする人影が扉の先にあった。
「…あの」
薄青のシャツに濃いグレーの細身のパンツ、赤みがかった襟足がまだ冷たい風に揺られている。
あたしの声に気が付いた当人はゆっくりこちらを向いた後