Last Valentine
遠くで盆踊りの音楽が聞こえる。
ナギサは足元に生えてる雑草を引っこ抜いて遊んでる。
俺はそれを見てる。
ナギサは見ていて飽きない。
小動物みたいだ。
たまに行動をDVDに録画して保存しておきたくなる。


『あたしさぁ…良いお嫁さんになりたいんだ』

なんだコイツまた唐突に。

『でもまだまだだよね。料理出来ないし、洗濯も自分ではたまにしかしないし、部屋もちょっとだけ汚いし、エビ食べれないし…』

いやエビは関係ないだろ。

『でも頑張るんだ!だから応援してね♪』

お前と結婚する奴はきっと幸せだよ。
でも俺は今お前と一緒にいれればそれでいい。

花火が上がった。

消えてはまた上がり。

消えてはまた上がり。


花火が終わりに近づくころ、俺とナギサは軽くキスをした。

俺らの関係なんてなんでもいい。
付き合うって何だ?
言葉にしなきゃ不安になるならいっそそんなものなければいい。
俺とナギサはこのままでいい。
好きなんて言った日には…
想いに終わりがくるみたいじゃん。
そんなのイヤだね。
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